Q.私は現在妻と娘1人の3人家族で暮らしています。数年前から会社の女子社員と不倫関係だったのですが、昨年その彼女から「妊娠した」との知らせがありました。私は自分勝手は承知ですが、不倫関係がバレるのが怖くて堕ろす事を望みましたが、彼女は受け入れず出産しました。
 彼女は出産するにあたり会社を退職。私は出産費用や当座の生活費として500万円を用意し、今後5万円づつは養育費として毎月払う事を約束、その代り子供が私を父親として認知請求しない事を盛り込んだ「認知請求放棄の合意書」を作成し、彼女に署名・捺印してもらいました。
 これで毎月滞りなく養育費さえ払えば、妻にバレる事無く、今の生活が守れると思っていましたが、先日彼女から「やはり父親がいないのは可哀想。子供を認知して」と言われました。
 私としては「認知請求放棄の合意書」がある限り、それを拒否したいと思うのですが、法律的に問題は無いでしょうか?



A.実際のところは、不倫の相手方にいくばくかの金銭を渡して、認知請求を放棄してもらう事は行われているかもしれません。それで両者が納得すれば問題が表面化する事はありません。しかし、これが法的に認められるかは別問題です。
 たしかに一度はお互いに合意している事項であり、実際に金銭が渡されているのであれば、後になってこれを反故し、認知請求するのは、「権利の濫用」であるとも言えます。
 しかしながら過去の裁判例からすると、「権利の濫用」として認知請求を拒否するのはかなりむずかしいと思われますので、「認知放棄の合意書」は有効とは言えないでしょう。
 また母親が納得しても、将来的に子供が自分の出自を知り、認知を請求(強制認知の訴え)をしてくる可能性もあります。
 本当の父子関係がある以上、認知請求の可能性からは逃れる事は出来ないと考えておいた方がよいでしょう。

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